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【特集】旅する藤里 「だまっこ屋」後編

【後編】





だまっこ屋
だまっこ屋を営む村岡ユキさん、章子さん親子。長年のお客さんとは親戚のような関係になっているそう。 




 白神山地に向かう途中、白神山地世界遺産センター(藤里館)のすぐ手前にある「だまっこ屋」と書かれた看板が目に飛び込んできます。“だまっこ”というなんともかわいらしい響きのこの言葉は、秋田弁で“おにぎり”のこと。民宿、食事処、お弁当の販売、きりたんぽ・だまっこ鍋の発送と大忙しの「だまっこ屋」は、元々はおにぎりなどを売る一坪のお店から始まりました。家族と同じ気持ちでお客さんのことと思い、手間を惜しまずに生み出される食は、やさしさにあふれています。

 このお店を営む村岡ユキさん、章子さん親子に、お店を始めた経緯やこだわりに(前編)に続き、長年あたためてきたお客さんとのつながり、食に対する思いなどを伺いました。






 
 
白神山地・藤琴川の源流付近での沢歩きの際、お願いしたお弁当。卵についた顔におもわずにっこり!





家族と同じようにお客さんにも体にいいものを作る


章子さん
 冬の間は宿泊する人はほとんどいませんね。宿泊しなくても、予約すればここでご飯を食べることもできますよ。あとは、お弁当の注文が多いかな。女子中学生たちの部活用にかわいいお弁当を作ってとお願いされたり、隣の能代市内の保護者からも藤里で大会がある時に注文が入ったりしますね。部活のお弁当となると20個30個頼まれます。

 ウインナーで形を作ったり、おにぎりに顔をつけたり。もうけよりも、自分の楽しみでやっていますね。あとは、幼稚園や小中学校の運動会用のオードブルも。こうやって子ども用のお弁当の注文が増えたのは、家で作らなくなってきているのが理由かもしれないなあ。なるべくワンパターンにならないよう、自己流でいろいろと工夫しています。元々はうちの子どもがお弁当を持っていく時、ふざけたキャラ弁作るのが好きでね。焼きそばに顔をつけたりして楽しんでました。

 子どもが冷凍食品を嫌うので、なるべく手作りのおかずを入れるようにしました。でも、手をかけて凝ったものを作るわけではないですよ。子どもは純粋に、親が作ったものを食べたいんです。だから頼まれたお弁当にもなるべく既製品を使わず、キャラものを入れるだけじゃなくて、山のものをプラスしたりしますね。例えば、タケノコは自分たちで採って処理して、缶詰にして保存しているのを使ったり。長いタケノコがスッと入っていたら、うれしいんじゃないかなあ。あとは、キノコ採りもして30個くらい缶詰にしたり、ゼンマイ、ワラビも採っておいて、お弁当に入れています。できあいのものはみな同じ味がするので、なるべく自然のものを使いたいと思っています。


 





手づくりしているハタハタ寿司。ハタハタのコリっとした食感、ほどよい酸味があとを引き、日本酒が飲みたくなる。





遊びと仕事が両立できて楽しい。


 商売だからと利益優先にするんじゃなくて、自分も食べるもの、体にいいものを出していますね。ハイカラなものは出せないけれど、お店でありながら家族に料理を出してもらっているようなあったかさが喜ばれるのかな。鶏タツタも健康のことを考えて自分で考えたメニュー(だまっこ屋でリピーターが多い「鶏タツタ定食」。鶏肉1枚使用の時もあれば、小さく切って唐揚げスタイルの時も。付け合わせも生野菜だったり温野菜だったりと、出てくるまでどんなスタイルなのかが楽しみになるメニュー)で、うちで普通に食べているもの。みそも作るし、ハタハタの寿司も作る。ハタハタは臭みがなくて、うまみがあるのがうちの特徴。止められない美味しさです。12月に5kg漬けました。かなり手間をかけて作っているから、臭みがないの。

 高校を卒業したら勉強が嫌いで就職したけれど、働いたらやっぱりどこか学校へ行きたくなってね。盛岡の調理学校を選んだのは、1年で資格が取れるという理由だったけれど、こうして店をやるようになって、調理師の資格があることは役に立ちましたね。資格があるとプライドもあるし。それに、山で採ってきたものをお弁当や食事にできて、遊びと仕事が両立できているのも楽しいですよ。


ユキさん

 うちは3人調理師の資格を持っているの。電気屋している時に、「保健所の人に何で必要か」と聞かれて(笑)。「興味があって」と答えると、「もの好きだけで取らなくても」って言われたけれどね。40代の時、能代の友だちが資格を取ったと聞いて、私もやりたいと思ったの。5日間の講習受けて勉強して、試験を受けて合格したよ。






 

お弁当を受け渡した後、お客さんを見送るユキさん。いつもカラフルな装いで、ファッショナブル!





いろんな人と知り合えて、親戚のような付き合いも


ユキさん

 民宿していろんな人と知り合って楽しいね。お客さんはとは、親戚みたいなものだよ。孫を見れば、「こんたに大きくなったのか」と驚く。それだけ毎年のように来てるってことだよね。孫は東京の大学に行ってそのまま就職したんだけれど、毎年ここ来ていたお客さん食事に誘ってもらったりしている。孫の勤め先が偶然、お客さんの奥さんが働くビルの隣だったりして、年末に焼肉食べに連れて行ってもらったとか。ちょっと考えられないことだよね(笑)。

 娘とやってよかったなあと思うよ。けんかもするけれど、仲直りも早い。言いたいことを我慢するストレスはないね。ちょこちょこしながら、遊びに行くのがいいね。バス旅行に参加したり、リゾート白神に乗ったりして楽しんでるよ。あとペンギンが好きで、男鹿の水族館の年間パスを買ったほど。今年は1月2日から行って、タコ墨で書き初めもしてみたの。

章子さん
 藤里は人が優しくて、自然の恵みが豊かなところ。ぜひ遊びに来て欲しいですね。



(料理編へ続く)

*旅する藤里「だまっこ屋」 料理編

https://www.town.fujisato.akita.jp/kanko/notices/1810



*旅する藤里 まとめページへ
https://www.town.fujisato.akita.jp/kanko/notices/2496









 

    
ライター : 久保田真理(くぼた・まり)
  
   ライフスタイル誌の編集者、オーストラリアでの写真留学を経て、フリーランスとして独立。国内外の取材を通じて、多様な生活や文化の魅力を発信する。秋田市生まれ、茨城・千葉育ち。趣味は、日本酒、トレイルランニング、ソウルミュージックの世界に浸ること。

 


知られざる藤里の旅は、“大切なものは何か”気付かせてくれるはずです。

このコラムは聞き書きの手法で藤里町ツーリズム協議会が制作しお届けしています。

藤里町ツーリズム協議会 電話0185-79-2115




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    登山にスキー、白神山地の散策など
    ほかでは味わえない大自然の遊びがいっぱい!

    楽しい自然体験・観光施設
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    藤里の澄んだ空と水は感動の美しさ。
    露天風呂や地元の料理を楽しめます。

    風情たっぷり町の御宿
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    大量にはない、手ざわり感ある品々。
    豊かな水が生み出す自然の美味しさです。

    白神の恵みがぎっしり特産品