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【特集】旅する藤里 「産直あさひ会」後編

【後編】








和佳子さんの野菜や加工品が入ったボックスの前で。生産者ごとに手塩にかけた食材を販売している。





 藤里町に入って車で約2分進み矢坂地区に入ると、左手に「白神街道ふじさと」(産直)の看板が見えてきます。藤里の生産者が野菜や加工品を販売する直売所です。これを運営するのは、産直あさひ会。現在14人の会員が、藤里の味を育んでいます。

 代表を務める会長の荒川和佳子さんに、産直を始めたきっかけや思い(前編)に続き、さらにこだわりの食、これからの産直について伺いました。










大根と紅心大根。こんなに立派なのに価格は100円台。クルマで遠くから買いに来るファンもいる。







秋田市や東京でも藤里の恵みをお届け


 夏なればミズたたきや、ミズの漬物も。この前、東京で藤里の産品の仲卸をしている人が、有名な人をプライベートで連れて来たの。ミズを採って、ワサビやクレソンを栽培している横倉でそうめん一緒に食べました。もちろん、ワサビすって入れて。あと、東京の有名なレストランのシェフも来るんですよ。売上を立ててゆくには、町外の人にも売っていかないとと思ってやっています。

 東京には年に2回行って、品川にある秋田のアンテナショップ「美彩館」で春は山菜やタケノコ、秋はキノコやクリ、野菜を売っています。タケノコは足が早いので、生でもって行けるのがあまりなくて残念なんです。あと、秋田市にも年に3回くらい行って出店しています。今年9月は。特別出店枠で出ました。まじめに頑張っていれば認めてもらえると思いましたね。

 あと、2年に1回開催される藤里出身者が集まる「在京藤里会」でも、ロビーでお店を出します。歳をとってきて段々と東京に行くのも大変になってきたけれど、私の知り合いが一番買いに来るから行かないとダメだと言われて(笑)。こちらで出すものを準備して、飛行機で行って店をやって、片付けてその日のうちに帰ってくるのは大変ですが、待っている人がいるので。









和佳子さんの工房では、産直のメンバーを集めて、時々女子会を開くそう。







産直の名物、きりたんぽセット


 昨年、農業委員になって初めての種苗交換会で食品乾燥機を買いました。この前の町民祭で出ていたドライフルーツ屋さんを見て、なんでもやってみればいいんだよなと思ってね。ダイコン、ダイコン葉をやってみたらよかったから、藤里産で規格外になってしまった野菜でやったらいいかな。

 乾燥野菜は煮たり焼いたりするのと違って、水分や栄養が逃げなくて、いいかもしれないですね。11月の後半になればたんぽの時期に、12月になれば干し餅の時期になるので、その前しか時間がない。年柄年中、暇がないですよ。干し餅も3月まで作るしね。

 産直では会員2人できりたんぽセットを作っています。前回は100セット近く出ました。寝ないで頑張って作ることもあるんですよ。きりたんぽを作るのに炊いたご飯を餅つき器でつぶす人が多いのですが、私は機械を使わずに手でつぶしています。炊飯器も内釜にこだわったもの。米ももちろん藤里産。私のところでは作っていないので米を買っているのだけれど、自分で作ってもいいくらいの量を買っていますね。1升のご飯で25本できます。

 私が携わる前は、年配の方が担当していたんだけれど、大分大変になってきたので、10年くらい前に引き継ぐことにしました。先生から聞けば作れるようになるのではと思って勉強会を開いたけれど、人前に出すには恥ずかしいもので……。経験を重ねて、やっときれいに作れるようになりましたね。

 スープ野菜もセットにして、九州までも届けています。東京が多いですね。口コミで広がっています。以前送ってもらっておいしかったからとまた注文してくださったりとか。スープは「藤里開発公社 加工センター」のもので、セリは横倉で栽培されたもの。ネギやマイタケなどの野菜もセットにしています。以前は野菜を切った状態で送っていたのですが、1回で野菜を使い切れない人もいるので、今はそのまま送っています。










産直(「白神街道ふじさと」)の店内。午前9時から午後5時まで営業、毎週水曜日定休。







把握できてないけれど50種類以上は


 会長して3期目、5年が経ちました。副会長を何年かやった後に、やるのはあなたしかいないと推されて会長になりました。自分の売上アップさせないと会員に指導できないと言われて、頑張ってきましたね。産直で一番種類を出しているけれど何種類か把握していないなあ。町民祭でも10種類(ご飯、バター餅、みそ付けたんぽ、普通のたんぽ、切り餅、漬物3種類、栽培のナメコなど)出したでしょう。あとは、梅漬け2種類、ミズのタタキ、ミズの漬物、長いミズ、シドケ、ボンナ、タラの芽、コシアブラ……50種類はあるかもしれないですね。

 段々と歳をとってきて、動きたくなくなってきたけれど、朝から寝るまで手を動かさないと。栗の皮むきだって1、2時間かかるでしょう。今はあと干し柿用に皮をむかないと。日当を出して頼むのは大変なので、現物支給でいいよという人に時々手伝ってもらうくらい。もっと作ればとも言われるけれど、現状維持で精一杯。人件費をかけてまで作る気持ちはないなあ。でもね、さぼらないで毎日やっていると売上が上がるよ。

 干し餅作るのが一番楽しい。大変だけれど今年のできはどうかな、と思いながら手を動かしています。レシピなどは残していません。もう30年も前になるけれど、本家のお母さんが勤め先で、ダムの作業員が来た時に食べさせたら、硬いから食べられないと言われて。それで、どうやって作るのか聞いて、言われた通りにやってみたらちゃんとした柔らかいのができたの。

 干し餅は産直が始まる前から作っていましたね。たんぽ作りが終わってお正月が過ぎてから3月くらいまで、30㎏の餅米で30くらい作るかな。必ず冷蔵庫に入れてから餅米をつぶします。それで、外に干す時の天候に左右されるの。寒風が吹いていると最高。不出来で満足しないと油で揚げて、おせんべいにします。段々温暖化が進んで干し餅づくりは大変になってきました。

 能代の方から何十連と注文がくるの。自分で作ったのを下さいと言われれば、また面白いよね。種類は、ごま、しそ、こはぜで、食紅(赤、緑、黄色)も入れます。糖分摂らない人のために、砂糖を入れないのはないかと聞かれることもあります。実験してみようかな。

 幼稚園、小学校、中学校の給食を作っているセンターにも、野菜を入れています。夏の間は、折りミズを1回に8〜9㎏、4cmに切って届けていました。傷みやすいので、前の日にやらないで、当日の朝に作業していましたね。今年は野菜のできがあまりよくなくて、センターに収められませんでした。ダイコンは暑くて高温障害にかかって、キャベツも破裂してしまって。そういうのをもらってきて乾燥させればいいかな。










購入した大型乾燥機。どんなものが好まれるか実験を繰り返しながら開発を進めている。乾燥柿が美味。








これまでの経験を伝授できる人がいたら


 産直の会員は現在14人、立ち上げ当初は35人いました。毎月ではないけれど第二火曜日に会議をするようにしています。会議では、売上が下がっているので頑張ってください、イベントがあるので協力して下さいとお願いしています。

 個人的に近隣の産直を見て歩いていますが、振興局の会議に行ってどこもみんな悩んでいる様子でした。産直のファンの方は、頑張れって言って応援してくれますね。

 保健所の更新5年ごとにあるんだけれど、あと1回更新したら辞めようかなとも思っています。モノが違えば、調味料とかの分量も当然違ってくるでしょう。だから、レシピは全部頭の中に入っていて書き残したりはしていないけれど、いずれは伝授しなくてはと思っています。

 私には管理栄養士の妹がいて、お菓子作ったりするのも好きなのね。その妹がいればコンビを組んでもっといいものができて最高なんだけどなあと思うけれど、埼玉に住んでいるのよ。

 歳もとってきたし、弟子を募集するのはいいかもしれないですね。野菜でも何でもあるし、食べるには困らないですよ。町からは産直を辞めないでと言われているけれど、今のままでは限度があるから、UターンでもIターンでも町以外から人を呼んでくるのはいいことだと思いますね。






*旅する藤里 まとめページへ
https://www.town.fujisato.akita.jp/kanko/notices/2496














     ライター : 久保田真理(くぼた・まり)
  
   ライフスタイル誌の編集者、オーストラリアでの写真留学を経て、フリーランスとして独立。国内外の取材を通じて、多様な生活や文化の魅力を発信する。秋田市生まれ、茨城・千葉育ち。趣味は、日本酒、トレイルランニング、ソウルミュージックの世界に浸ること。

 


知られざる藤里の旅は、“大切なものは何か”気付かせてくれるはずです。

このコラムは聞き書きの手法で藤里町ツーリズム協議会が制作しお届けしています。

藤里町ツーリズム協議会 電話0185-79-2115


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  • 登山にスキー、白神山地の散策など
    ほかでは味わえない大自然の遊びがいっぱい!

  • 藤里の澄んだ空と水は感動の美しさ。
    露天風呂や地元の料理を楽しめます。

  • 大量にはない、手ざわり感ある品々。
    豊かな水が生み出す自然の美味しさです。