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【特集】旅する藤里 「だまっこ屋」前編

【前編】





だまっこ屋
秋田県民にはおなじみの“だまっこ”。だまっこ屋の目の前には藤琴川が流れている。 
 





 白神山地に向かう途中、白神山地世界遺産センター(藤里館)のすぐ手前にある「だまっこ屋」と書かれた看板が目に飛び込んできます。“だまっこ”というなんともかわいらしい響きのこの言葉は、秋田弁で“おにぎり”のこと。民宿、食事処、お弁当の販売、きりたんぽ・だまっこ鍋の発送と大忙しの「だまっこ屋」は、元々はおにぎりなどを売る一坪のお店から始まりました。家族と同じ気持ちでお客さんのことを思い、手間を惜しまずに生み出される食は、やさしさにあふれています。

 このお店を営む村岡ユキさん、章子さん親子に、お店を始めた経緯や、長年あたためてきたお客さんとのつながり、食に対する思いなどを伺いました。







お母さんの村岡ユキさん、娘の章子さん。親子ならではの連携プレーで切り盛りする。






恩師に名前をつけてもらい、「だまっこ屋」が始まった


 
ユキさん

 だまっこ屋を始めたのは、章子が高校生の時、昭和62年(1987)か63年(1988)だったかな。私は大沢地区生まれ育ちで、始める前は藤琴地区で電気屋をしてたの。その頃、藤里中学校の校長先生をしていた私の恩師が退職して電気屋にしょっちゅう来てて、買い物している奥さんを待つのにちょうどよかったんじゃないかな。「電気屋もこれから大変になるし、なんか食べるものの店をやればいい。店の名前は……」という話になって、恩師が私のことを見て、「おめだまっこ(おにぎり)みだいだがら『だまっこや』ってつけれ」って言ったの。それがきっかけで、店の名前を「だまっこ屋」にしたんだよね。

 その頃、十和田湖観光が人気で、ドライブしてしょっちゅう遊びに行ってたの。十和田湖の入り口に「おにぎり」と書いてある一坪くらいの小さなお店があって、結構人が入っていたんだよね。それを見て、藤里にも人が来るしいいんでないかと思って、おにぎり、みそつけたんぽ、やきとりだけを売る一坪の店を始めたの。その頃は藤駒荘(湯元 なごみの湯の前身)1軒だけで、お風呂に入った人も立ち寄ってくれたね。最初は売るだけの店だったんだけれど、登山目的で遠くから来る人がいて、座って食べるところが欲しいってリクエストされたのをきっかけに、食べるところをつけたんだよね。それから2000年ごろに、後ろの土地を譲ってもらう話になって、民宿をつけたんだよ(現在は、6畳の部屋が4つあり)。

 店を始めた時に手伝ってくれた人が市日(藤琴地区で毎月1、11日、21日に開かれる市)の経験者で、みそつけたんぽのみその作り方を教えてくれたの。おにぎりの中身は梅、塩マスから始まって、段々と増えていったね。月曜日休み以外は毎日営業して、酒のつまみにやきとりはよく売れた。藤里にあった店のおばあちゃんがやきとりが得意で、タレの作り方を教えてもらったの。たんぽも手作り。他ではなかったから、面白いほど売れたよ。自分たちでご飯を手でつぶして、普通のきりたんぽよりも小さいサイズのたんぽを作っていたんだ。









ある日の登山客のお弁当。おにぎりのちょうどよい塩けで、駒ヶ岳登山で疲れた体が回復!






登山客・釣り客が来ると思ったら……


 
章子さん
 だまっこ屋を始めた時は、母さんとお手伝いの人と二人でやっていましたね。私は東京で働いてから岩手・盛岡の調理専門学校を出て結婚したんですが、子育ては藤里でしたいと思って家族で戻ってきました。ここで民宿を始める頃、子どもが幼稚園の年長くらいの歳になってそろそろ仕事を始めようかな、外に働きに行こうかなと思っていたタイミングでした。

 登山客と釣り客を対象に民宿を始めたんですが、意外だったのは工事の人の滞在が多かったことですね。橋の建設や、携帯電話のアンテナ設置、素波里のトンネル工事、それに雪崩防止の柵を造るのに北海道から人が来ていたことも。3か月も半年も泊まっている人がいたけれど、埼玉から来た橋の人が一番長かったかな。今でも年賀状のやりとりをしていて、付き合いがあるんですよ。今はもう65歳くらいになったかな。朝昼晩とご飯を用意して、弁当を持っていくこともありました。

 それから山の人、釣りの人が来るようになって、今は釣りの人が多いですね。7月、8月になると仙台から通ってくるアユ釣りの人がいますよ。宿を始めた頃からだから、もう20年くらいですね。5月から9月までは、イワナ目的の渓流釣りの人が来ます。渓流釣りの場合は早く出るから朝食は食べずにおにぎりを持って出かけるけれど、アユの人はゆっくり食べて行く。同じ釣りでも違うから面白い。

 食事では、地元のものを出すようにしています。特にだまっこ鍋(きりたんぽの代わりに丸めたご飯が入っている鍋)が喜ばれますね。だまっこはきりたんぽと違って崩れないから好きという人もいるし、染みたのが好きだから夕べの残ったやつを食べたいとリクエストする人もいます。2日目のが美味しいんですよ。うちのだまっこは、次の日になってもボロボロにならないの。それは企業秘密(笑)。味は、実家のある大沢の味を引き継いでいます。







ユキさんの実家で手がける米を原料に作られる、だまっこ屋のきりたんぽ。






いち早くきりたんぽセットの発送をスタート


 
ユキさん

 章子がやるようになってから、若い人たちにも喜んでもらえる料理になってきていて、鶏タツタがおすすめ。関東・関西から来る人たちには、米が美味しいと言われるね。米は実家の大沢で作って玄米でもらって、うちで精米してガスで炊くの。きりたんぽを作る時は、2升ずつ3、4回炊くんだけれど、力仕事は章子の担当。12月になるとその量を毎日炊くから、月末になると米が持てなくなるくらい体力を使って大変だよ。



 
章子さん
 きりたんぽセットは、毎年注文してくれるお客さんがほとんどです。以前誰かに送ってもらって美味しかったから、と直接注文がくるようになるケースが多いです。関東のお客さんが多いかな。広告も何も出していないのに、お友だちに送ってその友だちがまた広げてくれるという感じですね。


 
ユキさん

 きりたんぽの発送は、店が始まって何年かしてから始めました。郵便局の人たちの集まりがあって、「ここのたんぽ美味しいから、肉も入れて送ればどう?」と提案してくれて、それで友だち何人か送ったら、「すごく美味しいから自分の友だちにも送りたい」と言われて。ネギもセリも切ってあとは鍋に入れるだけ、鍋と水があればできる状態で送ったの。いつだか、カニ専門店でカニ鍋のセットが売られていたのを覚えていて、ネギとかセリとかきれいに作っていて、こういう送り方すればいいんだなと思って。やりたくなればすぐにやる性格なんだよね。

 きりたんぽもここで作っているよ。量が多くなったから、ご飯をつぶすのは餅つき機でやるようになったけれど、あとは手作業。あえて真空にせず、生の状態で送ると喜ばれるんだよね。作った翌日には発送してる。宅配便がなければできないことだね。今は沖縄までクールで行ってるからすごいよ。昔、奄美大島からよく頼んでくれた人もいたし、今では北海道からの注文もよくくるよ。あと、親戚に送りたいと注文される場合もある。振り込み用紙の通信欄に、「美味しかった」って書いてもらったりね。うれしいもんだよ。




(後編につづく)










 

     ライター : 久保田真理(くぼた・まり)
  
   ライフスタイル誌の編集者、オーストラリアでの写真留学を経て、フリーランスとして独立。国内外の取材を通じて、多様な生活や文化の魅力を発信する。秋田市生まれ、茨城・千葉育ち。趣味は、日本酒、トレイルランニング、ソウルミュージックの世界に浸ること。

 


知られざる藤里の旅は、“大切なものは何か”気付かせてくれるはずです。

このコラムは聞き書きの手法で藤里町ツーリズム協議会が制作しお届けしています。

藤里町ツーリズム協議会 電話0185-79-2115




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    藤里の澄んだ空と水は感動の美しさ。
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