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【特集】旅する藤里 「農家民宿 陶」前編

【前編】






「農家民宿 陶」の入り口にある看板。見とれてしまうほど美しい字で書かれている。





 藤里町の粕毛地区には、民泊できる住宅が6軒あります。第一弾で紹介した「農家民宿 桂」に続き、今回は「農家民宿 陶」。家主の佐々木喜恵子さんは、大の山好き。かつて藤里町の人々の胃袋を満たしていた「かもや食堂」に勤めていた経験もあり、大の料理好きです。

農家民宿の様子や料理のこと、山のことなどについて伺いました。







宿主の佐々木喜恵子さん。好奇心旺盛でいつも笑顔を絶やさない。すぐに打ち解けてしまう。






なかなか出会えない人と過ごせる民泊



 町との関わりを持ち始めたのは、民泊を始める前に学生団体「ARC(アーク)」(秋田大学の学生を中心に組織。地域活性化に携わる)が家庭訪問に通ってきていたのね。近くの酒屋さんで最初は話をしていたんだけれど、「山が好きなのは喜恵子さんだからあっちへ行け」と言われたみたいで。私は手が器用でもないし、これといった趣味もないから、他の立派な人のところへ行けばと言ったんだけれど、孫みたいな年齢の子たちの熱意に押されて。段々と打ち解けるようになりました。

 この粕毛地区で農家民宿を始める前に、岩手県遠野の菊池新一先生からいっぱいアドバイスをもらいました。「70歳過ぎても働いてみれ。人生が変わるから。あと終わりだって言わないで」ってね。初めは知らない人が泊まりに来ることに抵抗があったけれど、一人でいれば明日でも明後日でもできるって後回しになりがちなところを、来るとなればきれいにしなきゃと思う。だらしない生活はできないなあと思う。

 民泊は去年(2017年)の初夏から。いろんな人が泊まりに来て楽しいですよ。私は考えたこともないような職業の人とかいてね。この前は、スノーシューみたいのを履いて砂浜を歩くトレーニング教室を開いている人が来ました。神奈川・藤沢からの人だったけれど、あっちに行けばそれでも商売になるんだと思って(笑)。本も出したことがある、イラストを描く人も来たね。こっちに来るよりもドイツに行く方がラクに行けるよ〜という話になって笑ったなあ。

 同じ粕毛地区で活動をしている藤原さんが、秋田のホテルに泊まった時に朝食のテーブルが一緒で声をかけた人でね。声をかけたり、名刺を渡したりするのは大事だなあと思いました。この地区の特産物を藤沢に売りに行った時に名刺を作ってもらって、よろしくねと来た人に配ったの。その後、「息子が泊まりに行くから」と連絡をもらったこともありました。配ったことも忘れていていてね(笑)。一度会った人なら、安心して連絡できるのかもしれないね。

 泊まる人は、小学生から70代まで幅広いね。今年は(2018年)は神奈川から9人も来てくれました。来てくれた人の同じ大学の仲間に口コミで広がったみたいで、愛知県からも。あとは、お母さんが何度も来ていて、今度は息子が来たというケースもあります。








宿泊者名簿。東北、関東、東海地方からお客さんが来た。感想欄にはびっしりとコメントが。







家の片付けよりも先に山に行きたい


 山が好きで、山菜採りも大好き。家にずっといられない性分で、散らかってもいいから山に行かないと満足しないの(笑)。私は隣の二ツ井出身で、親はたいして山好きではなかったけれど、夫は山が好きであちこち歩きましたね。藤里駒ヶ岳、小岳はもちろん、白神岳、岩木山、岩手山、月山、姫神山(太平山)、はやつね山、鳥海山と登りましたよ。

 今年はきのこが豊作で、山に入りっぱなし。前は一人で大丈夫だったけれど、今はクマ騒ぎがあるので友だちと山に入っています。得意のきのこは、ホウキダケとサワモダシ。ホウキダケは水煮にして塩に漬けて、馬肉と一緒に煮付けにしたら、シャキシャキしておいしいとこの前泊まった人が喜んでいました。

 サワモダシは味噌汁、煮物に。多く採れたら缶詰にして、今年は30個くらいできました。宿泊する人からお土産をもらったりするんだけれど、買い置きがないので、缶詰をお礼に渡すこともあります。また来るねと言って別れた後、偶然遺産センターで会って、採ったきのこをあげたら、今度は帰ってからお礼の品を送ってくれましたよ。

 春は山菜を、ぜんまいは年中出していますね。煮物、白和えにして。若い人は白和えを食べないから、煮物が多いかな。春はシドケ、ボンナ、ギボシを。酢みそ和え、おひたしで食べますね。きのこと馬肉の煮付けは定番。豚肉が一番身近だけれど、人が集まるとしたら馬肉ですね。娘たちも大好きで。

 馬肉は、役場の隣の菊池肉屋さんで買います。1.5㎏買って、しょうゆ、砂糖、酒、水だけを入れて圧力鍋で15分。この前は法事で家族が来て、時期だなあときりたんぽを出しました。もちろん、宿泊のお客さんに出すこともあって、この前の人には新米でたんぽを作って出しました。若い人だからこんなに食べられるんだと感心するくらい食べていましたね。

 要望があれば、お客さんと一緒に作ることもありますね。こだわりがあって、どんなに忙しくても前の日は作りません。食べる日の朝か直前に作ります。煮た時のしなやかさが全然違うから。下準備だけちゃんとできてれば、大変ではないよ。人数3、4人となれば、慣れているので。








夕食時によく使われる器。肉や野菜を入れて出す。保温性がよく料理が温かいままいただける。







こだわりのご飯、味噌汁が味わえる朝食


 朝食には、焼き魚、卵焼き、山菜のごま油炒めなど、ある程度決まっていますね。県外からの人には、ぎばさ(アカモク)とかとんぶりとか、秋田県のものにこだわって出しています。この前、とんぶりと長芋を和えたものを出したら、「どうしてキャビアがあるの?」と聞かれたの(笑)。私、冗談で言っているのかと思ったら、本気になって言っているんだもんね。私はキャビア見たことがないけれど、愛知・岡崎から来たその人はとんぶりを見たことがなかったって。

 あとは、サワモダシの味噌汁とか、その時期によって里芋入れたりとか。ご飯はあきたこまち。二ツ井の弟が作った、冷蔵庫で保管している低温米を食べているの。新米の時期はそんなに差がないけれど、夏過ぎると違ってくる。いつまでも新米のおいしさで、とっても喜ばれるよ。

 味噌は今までは買っていたけれど、よそのがおいしいので聞いてみたら藤里の加工所のものと分かって。だから私も今年から頼んでいるの。娘にあげたらすごく気に入って、減りが早くなってね。言わなきゃ良かったなあと思って(笑)。ちょっとの間に樽1つがなくなったの。私は1人で食べるし、向こうは4人で4倍のペースでなくなる。5升で大きな樽2つ分できる。3、4人家族で1年分はもつ量だと思います。



(後編へ続く)

*旅する藤里「農家民宿 陶」 後編
https://www.town.fujisato.akita.jp/kanko/notices/1909





*旅する藤里 まとめページへ
https://www.town.fujisato.akita.jp/kanko/notices/2496













     ライター : 久保田真理(くぼた・まり)
  
   ライフスタイル誌の編集者、オーストラリアでの写真留学を経て、フリーランスとして独立。国内外の取材を通じて、多様な生活や文化の魅力を発信する。秋田市生まれ、茨城・千葉育ち。趣味は、日本酒、トレイルランニング、ソウルミュージックの世界に浸ること。

 

知られざる藤里の旅は、“大切なものは何か”気付かせてくれるはずです。

このコラムは聞き書きの手法で藤里町ツーリズム協議会が制作しお届けしています。

藤里町ツーリズム協議会 電話0185-79-2115


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    登山にスキー、白神山地の散策など
    ほかでは味わえない大自然の遊びがいっぱい!

    楽しい自然体験・観光施設
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    藤里の澄んだ空と水は感動の美しさ。
    露天風呂や地元の料理を楽しめます。

    風情たっぷり町の御宿
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    大量にはない、手ざわり感ある品々。
    豊かな水が生み出す自然の美味しさです。

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