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【特集】旅する藤里 民泊「のっこの家」後編

【後編】








雪かきでトラクターを操る孝雄さん。ボランティアで近所の雪かきをしている。






 藤里町の粕毛地区では、2年前より農家民宿を開始。現在は6軒で藤里の暮らしを体験できます。そのうちの1軒「のっこの家」は、鈴木ノリ子さん、孝雄さんの仲良し夫妻が、もてなす民宿です。

 ノリ子さん、孝雄さんに、民泊の様子や、自然を愛する暮らしについて伺った前編に続き、普段の食のこと、普段の生活の様子について伺いました。









旅館とは違い、民泊では一緒に食事の支度をしたり、布団を敷いたりするのが楽しい。






会ったばかりでも話ができるのがうれしい。実家みたいですねと言われます。


 ノリ子さん:昨年は少しお休みしましたが、9月からまた民泊を始めました。同じく民泊をしていて、岩手の遠野から何度も来てくれる方がいて、お互いに頑張ろうと励ましてくれました。また、別の方は、自分の実家に来ているような気がする、と言います。寒い時に湯たんぽを入れてあげたら、ああ親みたいとも。自分のことを話してくれたり、私も自分のことを話したりできる間柄ですね。

 会ったばかりでも、みなさん親しみやすく話ができるのが楽しい。昨年の雪まつりに、自分と同じような年代の人たちが神奈川の藤沢から5人来てくれて。何度か来てくれた人もいます。その時、取材が入って、新聞に掲載されて。大きく引き伸ばした写真を記念にもらって、そこの廊下に飾ってありますよ。

 いろんな人が来てくれるし、それぞれに印象があって、思い出も多い。だから、楽しいよね。歳を取ればやれなくなるからねえ。東京、神奈川、千葉、埼玉の人が多いですね。今年2月6日にはごまちゃん(法政大学のボランティアサークル・除雪に来る)関連の人が来ました。3、4日藤里に滞在する間、メインは旅館に泊まるのですが、一日だけここに泊まりました。布団敷くのもワイワイ騒ぎながら手伝ってくれる、そこ旅館とは違うところ。みんなで布団敷くよーと言えば、子どもたちも面白がるよ。

 明日も昼に視察の人たちが来るみたいで、6人分の支度をお願いされました。団体さんが来る時は、粕毛のセンターの調理室で用意にします。民泊が始まってから近所の人と料理をする機会が増えたけれど、メニューも考えないといけないし、私たちも歳を取ってきているから、60歳くらいの人たちが専門にやってくれたらいいなあと思う。










自宅から見える風景。遠くには、雪が積もった藤里駒ヶ岳が見える。







3回漬け替えて作るダイコンのみそ漬け。何でも手間暇かければおいしくなる。


 ノリ子さん:その時にあるものを見てどうしたらいいかなと考え、お父さんにも相談しますね。いつもテレビを見て、いろんな料理を知っているから(笑)。遠くから来た人には、みずのこっこ(秋田でよく食べられる山菜「ミズ」の実)やワラビの漬物とかも喜ばれます。冬は保存食を利用しますが、なければ買ってますね。

 大好評のダイコンのみそ漬け、かす漬け、たくあん1本漬けの他に、お父さんが大好きなた漬け。みそ漬け食べてみて。いい塩梅?しょっぱくしないの。ダイコンはいっぱいあるから塩漬けしてから、3回漬け替えます。レシピはない、適当だよ。サバの寿司を漬けるのも適当だけれど、おいしいって言われるよ。

 孝雄さん:(ノリ子さんの実家の)孫ばあさんのがっこ(漬物)がおいしくてね。長瀞の味だな。遊びに行くと出てきたものだよ。

 ノリ子さん:みそだれは自分で作ります。パリパリするダイコンがいいね。太いものを半分に、さらに半分に切って、塩漬けしてからみそ漬けをするの。そういしないと水ばかり上がるから。それからみそに漬けて洗って、を3回繰り返す。手間はかかっているよ。何でも手間暇かければおいしくなる。適当にはやるけれど、塩の量はやや少なめにと決めているの。今はあまりしょっぱくすれば駄目だからね。

 畑も手をかければいい野菜ができるし、人に対してもちゃんと接していれば支えてくれるよ。昨年は体調を崩して動悸がしたりして大変だったけれど、みんなにそのまま話したの。お父さんには少ししゃべりすぎだって言われたけれど。みんなと話をすれば楽しいし、心配してくれて世話になりました。近所の人と仲良くしていかないとなあと改めて思いました。









大好評のダイコンのみそ漬け。シャキシャキとした歯ごたえ、ほどよい塩加減があとをひく。







自分が採ったワラビで作る漬物。4度の塩漬けを繰り返すときれいな色に。


 ノリ子さん:山が好きで、よく山菜採りに行きます。キノコ採りはしないけれど、ワラビなどは採りに行きますね。お客さんがおいしいってと言えば、実家の人がキノコを分けてくれるの。営林署に勤めていた父がよく山のことを覚えていて好きだったから、私も昔から好きですね。お父さん(孝雄さん)は足が痛くて歩けないけれど、一人では行けないから一緒に行きます。みんな歳いって採らなくなったのか、すごく太いものがあるの。

 孝雄さん:ゼンマイは容易でないよ。皮をむいて干して束ねて……。

 ノリ子さん:塩ワラビを漬けると、ツルツルしておいしいよ。アクが強くて黒い汁が出るので、その汁を捨てて4度も取り替えるの。取り替えれば取り替えるほどいいよ。ショウガ、ニンジン、今回は入れていないけれどダシ昆布をはさみで切って、あとは味道楽(秋田で常備している人が多いダシしょう油)と塩ちょっとで和えます。

 採れるうちはどんどん塩漬けしていきますね。お父さんは煮付けの方がいいと言うけれど、私はツルツル感があって漬物の方が好き。都会の人が来れば作ってとリクエストを受けるが多い。私もできることあるんだなあと思って。

 あとは、クリの渋皮煮も甘煮も作るよ。甘煮の場合、クリの皮を取って砂糖と水で煮るの。茶碗蒸し用にすることが多いかな。卵があればあとはできるから。 畑の周りのクリを採って、夜に皮をむいて冷凍します。今は冷凍庫があるからいいな。年によってなる時、ならない時があるんだけれど、少ししかならなかった時にクマが全部食べていったりしますよ。

 孝雄さん:木の上に棚作って置き土産もしてな(笑)。

 ノリ子さん:でも、クマを見たことはないの。娘には行くなと言われます。私は、自然のところで暮らしているのがいいな。季節ごとに楽しみがあって。都会には住めないな。日中は座っていることはないです。座っているのが嫌なの。

 いつもは、手間暇かけないといけないでしょ、だからあとは切り絵くらい。昼寝もしない、したくない(笑)。だから、夜は何もしないの。夕食の片付けが終われば、あとは自由な時間。それが楽しみなの。

 こうやって歳をとっていくんだな、時間を大事にして生きていかないとなあと思います。昨年は金婚式を迎えて、あと何年かなあ一緒に居られるのはと思うので、楽しく健康で生きていかないとね。ケンカする話題もないし(笑)。

 やれるだけやってみようと思ってね。以前、アーク(秋田の学生団体)の人が卒論用にインタビューに来た時に、あと何年やる?と聞かれたの。あと数年、だって80歳のおばあさんのものは嫌でしょうって言ったの。娘も孫もワラビ漬けが大好きで、まだ味が落ちてないから大丈夫と娘に言われたから、もう少しはやってみようと思って。











自分で採ったワラビの漬物。塩漬けにしたワラビ、ショウガ、ニンジンを秋田県民おなじみの調味料「味道楽」で和えた。








珍しい町内同士の、しかも長女の結婚。それから金婚式を迎えるまでに。


 ノリ子さん:切り絵は、ふじこま大学(藤里町でのサークル)で2年くらい勉強しているよ。うちでもできるし、細かい作業だから少しずつね。飾るところがないからあまり作るなとお父さんに言われる(笑)。

 ふじこま大学は、5月から10月までの月1回、1時間くらい集まって、10月の町民祭に1つは展示するように作品に取り組むの。そこで、みんなと話をするのがいいよね。明日も農協婦人部でプラザみやこ(能代)に行くよ。人と一緒に歩こう思ってね。JAのグループ、老人クラブといろいろと入っているよ。

 切り絵は細かいから、時間がある時に集中してやるようにしているの。今は雪があるからしない、雪かきで忙しいの。隣近所の人は90歳近くで、雪を捨てる人がいないから、私たちが手伝ってあげないと。自分たちがそうなったらねえ。ありがたいと言われるよ。

 みんな寒くて大変だなあと言うけれど、必ず春がくるから、春がこない年はないでしょうと言うの。普段は誰も人が歩いていない時も多いけれど、雪かきをする時はみんな外に出ているの。だから、あっちこっちから手を挙げたりしてね。

 何もなければ散歩をします。毎日1万歩を目標にしていると結構歩かないといけないよ。そこの清水岱球場まででも、15分で行ってしまうから。コースは決まっていて、途中で決まった人と話しをすることも。春は堤防のコース。土の上歩くのも、葉の芽でも出てくる風景が好きだから。

 見慣れているから忘れてしまうけれど、ここから藤駒(藤里駒ケ岳)が見えるので、お客さんにいい景色だねえと言われます。夏になれば、部屋からは星も月も見えるの。夜に寝ながら見るのはいいもんだよ。

 お父さんとは、職場で大恋愛して、21歳の時に結婚したの。私は長女だったから婿をもらうように育てられて、親が決めた人がいたから結婚するのに説得するので大変だった。50年前は長女が嫁になることはなかったからね。

 自分の娘を結婚させる時にこういう気持ちだったのかなと後になって分かって、娘の結婚は反対しちゃいけないと思いました。そんな結婚だったから、私とお父さんは絶対に仲良くしないといけないんだよ(笑)。町内同士で結婚する人も長女で嫁なる人も当時は珍しかった。長女が嫁になると噂にもなったくらい。

 その金婚式の絵は娘からのプレゼント。孫は22歳、20歳の二人。免許を取っていつでも病院に連れて行ってくれるって言ってくれるよ。







金婚式を迎えた時に、娘から贈られた似顔絵。居間に飾られていた。




*旅する藤里 まとめページへ
https://www.town.fujisato.akita.jp/kanko/notices/2496













     ライター : 久保田真理(くぼた・まり)
  
   ライフスタイル誌の編集者、オーストラリアでの写真留学を経て、フリーランスとして独立。国内外の取材を通じて、多様な生活や文化の魅力を発信する。秋田市生まれ、茨城・千葉育ち。趣味は、日本酒、トレイルランニング、ソウルミュージックの世界に浸ること。

 


知られざる藤里の旅は、“大切なものは何か”気付かせてくれるはずです。

このコラムは聞き書きの手法で藤里町ツーリズム協議会が制作しお届けしています。

藤里町ツーリズム協議会 電話0185-79-2115


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    藤里の澄んだ空と水は感動の美しさ。
    露天風呂や地元の料理を楽しめます。

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