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【特集】旅する藤里 「Café 岳」後編

【後編】







木の妖精がお出迎えしてくれる。






 藤里町の秋田県道317号線を車で走ると、大きな屋根が印象的なログハウス風の建物が見えてきます。自然光がたっぷり差し込む店内にはアメリカ製の薪ストーブがあり、コーヒーを飲みながらおしゃべりに、読書にと思い思いの時間を過ごすことができます。

 この『Café岳』を営む武田佐知子さんに、カフェを始めることになったきっかけや、食へのこだわり(前編)に続き、藤里の暮らしやお店を始めて10年経った思いについて伺いました。










丸上木材が切り出してきた白神の薪が店内を温める。







気候も文化も異なる、秋田の県南と県北地域


 東京で働いた後、実家のある秋田の県南に戻って、それから嫁いで二ツ井にきました。県南と県北の違いがありますね。県南は田んぼが広がり、山は遠くにあるものだから、山菜採りは一大事業。この日に行くぞ、と遠足に行くような感じで前から準備しましたし、田んぼに雪で山を作ってやるのがスキーだと思っていました(笑)。

 こっちに来たら、あたり一面山だらけ。ちょっと山菜採りに行ってくるって、身近なんだなと思いました。最初は山菜はあまり好きではなくて、もらったけれどどうしよう……という感じで。2、3年経ったら美味しくて、美味しくて(笑)。シドケ、ボンナはうれしいなあ。お浸しにすると、一番美味しい。ウドは天ぷらにして食べますね。

 雪はこっちの方が少ないです。大曲・横手の方が多い。こちらは風が強くて、夏でも洗濯物を洗濯バサミで留めないと飛んでいく。向こうは風が吹くのは時々で、洗濯バサミなんて要らなかったですから。冬は横殴りの雪で、向こうはぼたぼた雪で違いますね。

 きりたんぽは県北の発祥だから、実は食べたことがなくて、情報がなかったですね。秋田駅のステーションビルできりたんぽの形をしたお菓子を見て、これじゃないでしょ……と疑ったりして。それほど馴染みがないものでした。

 東京できりたんぽを作った時は、鶏かやき(貝を器にして煮込む、秋田の郷土料理。汁が少ない)を食べたあとに、ちょうどスキヤキの〆めでうどんを入れるような感覚で、たんぽを入れて出していましたね。昔はこちらの人は、里芋をあまり食べなかったでしょう。県南は山形の流れがあって、鍋っこ遠足というとカレーか芋煮が定番でした。肉は牛ではなく鶏だったけれど。







店内には森の造詣も深い旦那さん(武田英文氏)の著作も販売されている。







このあたりで山のことを指す“岳”を店名に


 『Café岳』の由来は、山のことをこの辺りで“岳”というからですね。オーナーになっている方が、岳也さんという名前であることもあり、岳にしました。でも、音だけで考えると“コーヒーだけ”、“カフェだけって”っておかしくない?って(笑)。みんながそれでいいんじゃないって言ってくれたので、まあいいかと。藤里らしい名前かなとも思いますね。駒ケ岳、岳岱もありますし。山があるのが藤里だから。

 店に薪ストーブを置いたのは私の提案です。薪ストーブの欠点は、しょっちゅう薪をくべてなければ火がもたないことと、ススが多く煙突掃除が大変で飲食店には向かないと思っていました。ところが、外国製のストーブの存在を知り、色々調べ価格も比較的リーズナブルなのを見つけたんです。ここあるのはアメリカ製で煙突に特徴があってススがたまらない。煙突掃除も3年に1度でいいストーブがあると聞いて。製材すると必ず端材が出るので燃料には事欠きませんでしたし。

 「ジャンプ」がここで食べられるようになったのは、ここで働いていた人の勧めがあったから。話を聞いて、藤里のソウルフードだしすごくいいと思いました。前に作っていた人に許可をもらいに行ったら、いいよと言われて。ある世代より上はみんな知っていて、帰省した人たちが懐かしいと言ってくれる。ビニール袋で何百円分という感じで買っていたようですね。









藤里町の往年の冷菓。町内で食べられるのはここだけ。




 ブラックベリーは、粕毛のグループが栽培しているものを仕入れて、ブラックベリーソースを作っています。そのソースは、ワッフルやアイスクリームにかけたり、ソーダ水で割ったり。

 ブラックベリーってなかなかないですよね。種が大きいので、取り除くのが手間ではありますが。酸味が強いので、一度煮てから漉して種をとって加糖しています。生のものはすぐに加工しないと持たないので、仕入れたら冷凍処理をしています。育てて収穫して売るのはたいへんな作業だと思いますね。

 慣れてしまえば、大変なことはないですよ。スタッフもいて、任せても安心。途中途中で確認はしていますが。専業スタッフは1人 丸上の事務の人も忙しくなればこちらを手伝ってくれますから。丸上木材は、製材の部門はやめたけれど林業は続けています。

 季節によってはいろいろなところからお客様が来るけれど、中心は藤里、二ツ井、鷹ノ巣、あとは山本郡内からも。私たちの住まいは二ツ井にありますが、お店を通じて藤里の知り合いも増えましたし、会社の関わりで知り合った方や、NPOの活動をきっかけに店を利用して下さる様になったり、逆に店に何度かいらしたことをきっかけにNPOに参加して下さった方もいます。







町内で栽培されたブラックベリーを使ったメニュー。







フラリと立ち寄れる場所であったらいいなあ


 店を始めてなんとなく10年経ってしまったなあという感じです。最初は5年くらい続けばと思っていましたから。60歳を目の前に始めて、この歳で新しいことを始めるのか……という気持ちもあったけれど、やめるのも大変なんですよ(笑)。日々の繰り返しで、なんとなくここまできましたね。お客さんから美味しいと言われるとうれしくてね。

 ここでは、何時間もゆっくりできます。読書、友だちとのおしゃべりと数時間過ごされる方がいるとうれしいですね。混み合う時間帯だとできないけれど、ゆっくりとした空間でいれることは私自身がうれしい。お客さんに満足した気持ちで帰っていただければと思いますね。営業的には厳しいかもしれないけれど(笑)。

 普通にいつもここにある、フラリと立ち寄れる、そういう場所であったらいいなと思いますね。お花の教室もやったことがあるんですよ。始めた当初は気張って肩肘張っていたこともあるけれど、これからは日常の中のちょっとした場所としてやれたらいいな、トントンでいいかなあという気持ちです。読書会や朗読会、ちょっとしたコンサートなど、時々イベントしようかな。

 家に居てもねえ(笑)。親や子どもたちがいる時は忙しい思いをしたけれど、今は3食作ってたまに掃除するくらいですからね。店優先の生活にはなるけれど、繁忙期でなければスタッフに店を任せて、どこか行きたいところにヒュッと行くこともできます。舞台とか見るのが好きなので、これからはちょこちょこ行ってみようかなという気持ちです。

 いろんな価値観があると思うけれど、こういうことをやっていてよかったと思います。もっと準備することがあるんじゃないかしらと思いつつ、まあ出たところ勝負でやってみようという気持ちで、メニューも基本は決まったけれど。そんなノリで始めた店ですが、気がつくと10年たってました。でもカレーは、段々と進化させてきましたね。最初の頃よりは、美味しくなっていると思いますよ。変化が分からないくらいバージョンアップしていますから。1歩下がって2歩進むくらいの感じでね。

 夜でもある程度の人数で、予約をすれば、時間関係なく使えますから。メニューの通りでもいいし、予算をもらって別メニューで作ることもできます。

 子供たちは今東京や、中国・蘭州にいるのですが、帰ってくると食べに来てくれます。お店をやっていることは、いいんじゃないと言ってくれますね。うちではこんなに手をかけなかったって言っているかもしれませんが(笑)。







営業は11:00~17:00。定休日は火水。予約すれば時間外の営業も対応してくれる。


















     ライター : 久保田真理(くぼた・まり)
  
   ライフスタイル誌の編集者、オーストラリアでの写真留学を経て、フリーランスとして独立。国内外の取材を通じて、多様な生活や文化の魅力を発信する。秋田市生まれ、茨城・千葉育ち。趣味は、日本酒、トレイルランニング、ソウルミュージックの世界に浸ること。

 


知られざる藤里の旅は、“大切なものは何か”気付かせてくれるはずです。

このコラムは聞き書きの手法で藤里町ツーリズム協議会が制作しお届けしています。

藤里町ツーリズム協議会 電話0185-79-2115




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    遊ぶ?

    登山にスキー、白神山地の散策など
    ほかでは味わえない大自然の遊びがいっぱい!

    楽しい自然体験・観光施設
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    泊まる?

    藤里の澄んだ空と水は感動の美しさ。
    露天風呂や地元の料理を楽しめます。

    風情たっぷり町の御宿
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    買う?

    大量にはない、手ざわり感ある品々。
    豊かな水が生み出す自然の美味しさです。

    白神の恵みがぎっしり特産品