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【特集】旅する藤里「さんこの宿」後編

【後編】


 粕毛地区にて、笑顔で楽しく農家民宿「さんこの宿」を営む安保敦子さんにお話しを伺いました。
宿泊するお客さんを娘や息子のように出迎えてくれるため、まるで実家に戻ってきたかのように過ごせる民家。畑で採れた野菜や藤里町の山で採れる山菜を使った、旬の食材の料理は、ほっとした気持ちにさせてくれます。昔の粕毛地区の様子や民泊のことなど、前編に引き続き、日々の生活を楽しむ敦子さんのお話をお楽しみください。

 





笑顔で迎えてくれる「さんこの宿」を営む安保敦子さん。玄関には素敵な花っこが飾られています。


 


お客さんを家族のように受け入れる「さんこの宿」

 民泊の仕事は、なんとなく始めた。みんな近所で集まったときに、民泊の話になって、なんとなくお話聞くようになって、なんとなく、なんとなーく、「やりたあい」って気持ちになって、「みんなやろうかあー」って。「やろう!」じゃなくてよ。「ちょっとやってみよっか」て自然に始めた。

 始めたのは3,4年前。最初はやっぱり大変。だって、人を泊めるってことはさあ、なんとなく不安もあったし。大変なのは、やっぱりね、何食べてもらうか、それが悩むっていうか。なるべく藤里町で採れる物を食べてもらうようにしている。田舎の料理、ぜんまいとか、普通の私たちの食べているものを食べさせれば、東京の人は「わぁ」っていってくれて、そこはありがたいね。自然と笑ってるんだよ。ぜんまいの煮つけとか、たんぽ(きりたんぽ)出してくれって言われたら、お父さんと作って出したり。要望あれば、だまっこ餅こしらえたりして。あるいは、山の物、わらびでも、ぜんまいでも、そういうもの使って料理に出すと、お客さんはいつも喜ぶ。ぜんまいでも、わらびでもその辺にあるから採って、それを利用してるよ。


 この間のお客さんさ、タラの芽とこごみの天ぷらして、総菜の皿っこさつけて、お肉つけたら、「わあーっ」て喜んだ。今採れる旬なものをつければ、お客さんも喜ぶ。ウドの味噌漬けもいいよ。味噌と砂糖にウドをつけて。ついこの間食べたけど、畑で採れるウドは生で漬けてもサクサクって触感で美味しい。でも、山で採れるウドはあくが強いでしょ。だから、湯がいてちょっと、酢味噌にあえる。それも美味しい。酢、味噌、砂糖で作るんだよな。

 その他の日のお客さんには、ホルモン焼きにミズ(山菜)と豆腐をいれたり、ぜんまいのねじけっこ(煮付け)、お漬物つけて、出したらね、とっても喜んで、だまっこもちをおかわりしていた。わらびのお浸しの上に、わらびのたたきを味噌で味付けしたものをちょこっと載せて、工夫した料理を出したりもした。





取材中にごちそうになった、敦子さん手作りのタケノコのお惣菜。さくっとした歯触りと味噌味の効いた旨味あるしょっぱさで、お酒もぐいぐい進んじゃいそうな美味しい味わいです。



 お客さんは東京の人でも、大阪の人でも来たけども、すぐ友達みたいになれる。話して、楽しくなって。私たちは大阪にも行けないし、東京にも行けないでしょ。来てくれるからありがたいと思うよ。会えない人に会えるんだから。一晩だけの時間だけども、ここでご飯食べて、おしゃべりして、次の朝帰るんだけども、「また来るよー」って言われれば、なんか嬉しくって。この間来たお客さんなんか、魚釣って、私に竿おいて、「魚焼いてけ(食べて)」って(笑)そういう気さくなの楽しいな。

 今までお客さんは、けっこう、いっぱい泊っているけども、ありがたいことに、家族のように一緒に楽しい時間を過ごすことが多かった。中には、「いいよいいよ、お母さん、わたしやるから」って、布団出しておけば、お手伝いしてくれるお客さんまでいた。ご飯でも、味噌汁でも勝手に台所から取り出す。みんな、自分のうちみたい、実家に帰ってきたみたいだって。お客さん来るとねえ、「ここあなた方のうちだよ。今日と明日の朝まで自由に使っていってよ」って言うの。若い人がくれば、娘さん帰ってきたとか息子さん帰ってきたとかって。お客さんらもみんな娘息子になって手伝ってくれるな(笑)一緒にやれば、楽しいよ、かえって。あと、お客さんくるとね、折り紙するの。私もお客さんも子供たちもみんな、折り紙して、宿に置いてくれるの。それを飾るの大好きなの。

 お客さんは楽しそうにして、楽しく帰っていく。また来るって人がほとんど。この間来た人も、九州の人だな、「あとで奥さんもつれてくるよー」って言って。して、テレビ電話さ奥さん流して、話しっこしてきたよ。私が「どうもー」って言って、あっちも「どうもー」って。そうやって、ただの挨拶。自然体、なんでも。いいふりしいは絶対だめ。このまんま。そのまんましゃべる。緊張しないでしゃべったほうがいいな、と思って。いいふりしたら、どこまでもいいふりしちゃう。ありのまま。それが楽しいよなあ。




お客さんと一緒に作った折り紙の飾り。明るい宿の雰囲気を、更にカラフルにしています。




藤里町で明るく楽しく元気に過ごす秘訣とは

 仕事ない日でも、なんにかかんにかやってるな。けっこう動くのが好き。あっちの草取りいってみたり畑さいってみたり。動く方が好き。私は畑がお友達。畑が私らの一番の遊び場。だってさ、何してても楽しいでしょ。鼻歌歌っても、花っこいじりしたり、何しても楽しいんだよ。

 畑なんかね、昔は会社勤めだったし、やれなかったの。でも、土いじるのが好きだったから、畑を借りて、ちょこちょこっと何気なしに畑もやるようになって、人の話を聞きながら、やり方を覚えた。出産終えてからちょこっとずつな。それで、本家の兄のお嫁さんが、やっていた畑を譲ってもらった。

 この間トマトを植えた。去年パプリカ植えたら、すんごくよかったから、パプリカも今年植えたよ。でもさいま、アナグマいたずらっこしに来るんだよ。あれは油断されない。そんで上からもトマトにカラスちゃんくるからな。網かけて。そろそろ食べようかなーと思ったら、あちらさまがね、食べてくれるから。だからけっこう忙しいよ、私だって。ここのお母さん方はみんなそうだよ。みんな、なんにかかんにか一生懸命がんばってるよ。




畑で採れた菊芋。その時の季節で採れる野菜や山菜のお料理が「さんこの宿」にて楽しめます。



 峨瓏の滝、あそこもいいでしょう、大好きだな。あと、山も好き。熊はこわいけど。藤琴の沢の方に行ったときに、お父さんが運転してたトラックから外見たら、熊ちゃんがどーんと道路挟んで立っていたことがあった。クワァーって。「お父さん怖いから戻ろう」って、戻ってきたことあるよ。あれは、まともに見たぁ、うーん。熊も私らの車にびっくりしたんじゃないの。車の中だからよかったけども、そうでなかったら怖いよなあ。だからやっぱり、山菜採りのときには、鈴とか笛とか、私ら絶対持って歩くよ。鳴らしてからでないと怖い。近くにいたら、がぶっとやられちゃう。だから、若いときはな、あれだけども、今はやっぱり何あるか分からないから、山菜採りも、ちょっと楽しむ程度。いっぱい採るじゃなくて。

 この冬だって雪投げるの大変だったよ。いつもより雪が多くて。今年はしっちゃかめっちゃか。家の後ろにあるひら(崖)に投げるの。春夏秋は畑を毎日していたけど、冬は雪寄せを毎日のようにする。お父さんと二人して毎日がんばっている。

 食事はね、毎日玄米食べてる。まあ、最初はちょっとあれだったけども、慣れたらかえって おいしい。お客さんくれば、白いご飯だけど。あと、豆類大好きだし、健康考えている。この間も、豆っこ煮たり。豆腐とか豆っこ大好き。

 今は好きなように自分のやりたいことやって、のんびりだな。行きたくないときは畑さも行かなくていいしさ。お父さんも元気だし、わたしも元気だし、まずいいかな。息子たち、東京にいるからな。だから、がんばって元気でいなけりゃ。なんでもさ、生きてくってばさ、明るく、楽しく、おもしろく、お父さんとわっはっはって笑って暮らしたいなって思っているよ。




粕毛川から望む粕毛の家々。長閑な風景が広がっていました。


 




▽旅する藤里「さんこの宿」前編
https://www.town.fujisato.akita.jp/kanko/notices/2563

▽旅する藤里 まとめページへ
https://www.town.fujisato.akita.jp/kanko/notices/2496






聞き手&書き手:徳広真理恵(とくひろ・まりえ)



藤里町ツーリズム協議会・ツーリズム地域おこし協力隊員。神奈川県川崎市生まれ。マーケティング、広告の仕事に携わってきた。自然豊かな環境を求めて夫、息子の三人で藤里町に移住。旅行と日本酒が好き。炭水化物で一番好きなものは米。




 



知られざる藤里の旅は、“大切なものは何か”気付かせてくれるはずです。

このコラムは聞き書きの手法で藤里町ツーリズム協議会が制作しお届けしています。

藤里町ツーリズム協議会 電話0185-79-2115


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    登山にスキー、白神山地の散策など
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    藤里の澄んだ空と水は感動の美しさ。
    露天風呂や地元の料理を楽しめます。

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