【前編】
営業終了いたしました。
農家民宿 桂の朝食風景。お腹も心も満たされる朝の始まり。
藤里町に入って車で4分ほど進んだところにある粕毛地区では、民泊が可能な家が6軒あり、ここで暮らす人を通じて藤里をより深く知ることができます。そんなうちの1軒、「農家民宿 桂」を営む桂田勲さん、京子さんは、約10年前に藤里町に引っ越し、セカンドライフを楽しむご夫婦。自然豊かな環境で、山菜を採ったり、保存食を作ったりと充実した日々を送っています。
農家民宿を始めたきっかけや思い、藤里町のバイタリティなどについて伺いました。
桂田勲さんと京子さん。京子さんはおしゃべり好きで手が起用なお母さん!
農家民宿を昨年の夏から手探りでスタート
農家民宿を2017年7月から始めました。その頃は、食事は粕毛の交流センターで、宿泊は6軒に分けて行っていたのですが、保健の資格を取って、自宅で夕食も朝食も作れるようになりました。初期のころは、朝の食事を一緒に作ったりしていましたね。
最初のお客さんは、去年のお盆前に来た学生団体「ARC(アーク)」学生さんたちでした。 5年くらい前から藤里に通ってくる団体で、以前は大沢地区で活動していたんだけれど、今はこの粕毛地区の活性化を一緒にやっているんですよ。男性2人が宿泊して、体験宿泊として、朝食を運んでもらったり、布団敷いてもらったりしましたね。一般の方では、80歳の幼稚園の先生が子どもたちに体験させたいと交流センターでキャンプをした時、うちには「Cafe岳(だけ)」の息子さんと夏休みには地元の小学生男の子3人と大学生3人も一緒に泊まりました。大学生が面倒を見ながら布団を敷いたりして、子供たちにとってはお兄さんのような存在ができてにぎやかでしたね。今度もまた小学生の女の子3人が来るんですよ。
昨年の寒くて雪のある時に遠野に体験宿泊に行ったんですが、他では何をやっているのかを見るのは大事ですね。民泊に慣れているお宅で、ご主人が留守だったけれど近所の女性がお手伝いに来ていました。自分たちのほかにも他から来た女性が2人いて、夜寝ている時に空気が冷たいと感じたのですが、その人たちは平気そうでしたね。食事は農家レストランで。姉妹でやっているところでした。そこでご馳走になった朝食が素晴らしかった。ピーナツが特産のようで、大きなピーナツやご飯が出て、品数もすごい。どこまでどうやっていいものか、私はまだまだ手探りでやっているけれど、そこでいろいろと体験してあまり気負わなくてもいいのかなとも思うようになりました。あと去年の11月、福島にも行って体験しましたよ。
2017年10月に宿泊した日本人、アメリカ人のカップルと。京子さんが抹茶を点て、夜中までおしゃべりを楽しんだそう。
近所の人が頻繁に出入りする家で生まれ育ったから平気なの
私と主人は、藤里に来る前は能代市にいました。向こうで一生懸命働いて、主人の実家のある藤里でゆっくりしようと思って。今年4月で10年目になりますね。私自身は三種町の八竜出身。選挙好きの家で、起きると近所の人がいろりのそばに座っていて朝ご飯を食べるような毎日でした。9人兄弟の末っ子で、親が早く亡くなったから、兄に育てられたようなもの。そして、能代の高校に進学しました。今でも同級生たちと付き合いがあって京都旅行に出かけたり、うちに来たことも。お客さん扱いしないよ、いつも食べているものを出すよって言って、10日間もいてね(笑)。
民泊をやるのに一人で暮らしている場合は自分の好き勝手にできるけれど、私のように家族がいる場合は家族の協力が必要です。せめてにこやかにしないと(笑)。私が一生懸命やっていても、家族がぶすっとしていてはねえ。私は人の出入りが多い家で育ったせいか、他の人が家に入ってくることはあまり気にならないんですよ。でも今は、おかずを作るにしても何をするにしても了解が必要で、ひとつ終わってほっとしての繰り返しですね。
先日は移住体験ツアーで、東京と埼玉から55歳、70歳の人が来ました。ざっくばらんな性格だったから、お酒飲んでうちの人、気が合ったのね。「こういう人なら毎日いてもいいなあ」なんて自分勝手に言っていたけれど、喜んでいましたね。そういうのを繰り返していくと慣れていっていいのかもしれません。おしゃべりしていて楽しいし、おしゃべり好きのお客さんが来ると助かりますすね。外国の方が来た時には折り紙を一緒にして、トイレを賑やかにしたこともありました。
以前の仕事で知り合った、ハワイ在住の日本人女性がいます。その人のおかげで、外国の人が来ても大丈夫。フラダンスの大会でグランプリを何度もとるすごい方で、空き家になってしまった実家を別荘代わりにしていて年に数回帰国する際、アメリカ人の旦那さんや友だちも連れてくるので、コミュニケーションできるようになりましたね。初めて会ってもドキドキしない(笑)。つながりができて10年になり、ハワイに来てよと言われて、私はすぐに飛んで行きたいけれど(笑)。アメリカからコナコーヒーが送られてくるので、よくお客さんにも出しているんですよ。
(後編につづく)
*旅する藤里「農家民宿 桂」 後編
https://www.town.fujisato.akita.jp/kanko/notices/1814
*旅する藤里 まとめページへ
https://www.town.fujisato.akita.jp/kanko/notices/2496
ライター : 久保田真理(くぼた・まり)
ライフスタイル誌の編集者、オーストラリアでの写真留学を経て、フリーランスとして独立。国内外の取材を通じて、多様な生活や文化の魅力を発信する。秋田市生まれ、茨城・千葉育ち。趣味は、日本酒、トレイルランニング、ソウルミュージックの世界に浸ること。
知られざる藤里の旅は、“大切なものは何か”気付かせてくれるはずです。
このコラムは聞き書きの手法で藤里町ツーリズム協議会が制作しお届けしています。
藤里町ツーリズム協議会 電話0185-79-2115
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