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【特集】旅する藤里「伊藤 昌子さん」前編

【前編】

 白神山地・森のえき開店当初から現在も森のえき内の食堂で働くお元気な昌子さんに健康の秘訣や大好きな料理のことを、作ってきてくださった料理を交えながら話をお伺いし、幼少期から青年期にかけて過ごした太良鉱山での生活の様子も語っていただきました。






 
太良鉱山
 私は藤琴で生まれているけれど太良鉱山 (だいらこうざん) で育ったの。
昭和15年1月3日生まれ、誕生日が来たから83歳になりました。
 父がね、鉱山の職員であったの、母と私は太良鉱山で食料品の店・斎長商店をやってた。太良鉱山で育って、小学校はそこにあった太良の分校へ行って、中学校は金沢中学校。いま清流荘があるでしょ、あそこに通ったの。
 
 鉱山にはね、小学校はあったけれど中学校はなかったから、金沢にあった藤琴中学校金沢分校に鉱山から毎日歩いて通った、昭和20年代後半のこと。
時間に合えばガソリンカーに乗って学校に通った。ガソリンカーっていうのは、ガソリン機関車のこと。当時は太良鉱山の鉱石を運搬するために森林鉄道が走っていた、鉱石を積む以外にも、ちゃんと客席車があって乗れるようにもなっていた。時間が合えば、それに乗れたけれど、帰りは殆ど、長い時間をかけて歩いて帰った。
 
 太良橋の手前に脇道があって、その上のほうに住宅があったの。そこには、いとくさんとうち・斎長商店の2軒の店があってなんでも売っていた。ガソリンカーで運ばれた食料品はとにかくよく売れたし、いとくさんでは、お酒も売ってた。お客さんから欲しいっていわれたものは、注文を受けて買ってもらった。昭和20年代から34年に太良鉱山が閉山するまでの話。




藤琴川をまたぐ太良橋 この渓谷一帯にかつては太良鉱山があった


 
 昭和33年の大洪水で、橋が全部流れてしまって、結局、ガソリンカーが走れなくなって鉱山は閉山になった。閉山になった後も皆がいなくなる昭和34年までは自分たちも残って、それから母の実家に帰って来たの。実家(藤里町の斎長商店)も食品の商売をやっていた。家族は、祖父母、両親、私たち7人兄弟の大家族だった。
 
 金沢中学校で一緒だったひとがたは、いまでも何人か居るけれど、太良鉱山のひとがたはほら、閉山と共に皆いなくなったからね。だって鉱山にだってすごく人がいてあったんだもの、職員の方々は関東から転勤になってきたりするから。だから言葉は割ときれいだったのよね。みんなそれぞれ鉱山生活だから、鉱山のある所へ行ってしまったものね。足尾(栃木県)、鶴岡市他(山形)、小松市(石川県)、秩父市(埼玉県)って行ってたよ。
  
 太良鉱山の冬は寒がったよー、雪は降るし、2m以上は積もるから、雪の上から外に出る感じ。家が雪で埋まってしまうんだから。藤里町内に来てから雪の量は少なくて違うよね、やっぱりね、あの十六貫トンネルを超えていくと違うものね、太良は一晩のうちに1メーターとかって降るんだよ。こっちに来てみれば全然想像がつかない、ほんとに雪がすごかった。太良からこっちへ下がってきたら、そんなに降らなくていいなと思った。

 
家族
 主人は北秋田市の早口というところの出身、昭和12年生まれで3つ上。洗濯屋なのよ。弘前にいて弟子上がりしてきて、藤里町に覚えている人があってそこを借りてそこでやってあったの。その後、知り合って一緒になったの。私が22か23歳の頃。息子が一人、昭和50年生まれ、埼玉に住んでいる。今年の正月は特別なにもやらないで過ごしたけれど、息子には12月29日までの間にいろいろ作って送った。自分で作ったきりたんぽ鍋のスープは、ペットボトルに入れて、きりたんぽの鍋の材料や煮た馬肉やゼンマイ、自分で漬けた漬け物、お餅は毎年送っている。でも段々年取ってきて容易でなくなってきた。

 

-後編〈仕事と料理〉へ続く-



▽旅する藤里「伊藤 昌子さん」後編
https://www.town.fujisato.akita.jp/kanko/notices/2700

▽旅する藤里 まとめページへ
https://www.town.fujisato.akita.jp/kanko/notices/2496





聞き手&書き手:小山内歌子(おさない うたこ)

藤里町ツーリズム協議会・ツーリズム地域おこし協力隊員。青森県弘前市生まれ。
イタリアに魅せられ90年代後半に渡伊。2004年から4年前までイタリアにて体験型ツーリズムに関わる。趣味はおいしいものを食べることとワイン。




 


知られざる藤里の旅は、“大切なものは何か”気付かせてくれるはずです。

このコラムは聞き書きの手法で藤里町ツーリズム協議会が制作しお届けしています。

藤里町ツーリズム協議会 電話0185-79-2115


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